無事手術が終わり、経過観察が経ち
一週間してからの事
ICUから出たのに、まだ24時間
看護婦さんに見守られている
なにかあったのだろうか…
毎日のお見舞いが二人の安心
胃を摘出してから、個室部屋に入り
【絶対安静】の中、扉を開けると
しんどいはずなのに
彼はいつも笑顔で迎えてくれる
毎日顔を見ないと安心できない中
会える時間だけが
ふたりが安心できるひとときだった
会社帰りで、疲れてない?
こっちにきて
そう言って、ベッドの横を空けてくれた
病院のベッドって案外固いんだね
そういって他愛のない会話も心地いい
個室でないと出来ないことだけど
22時までに、二回看護婦さんが
様子を見に来るので
本当は、内心ドキドキ
それでなくても夜の病院
院内は真っ暗で殺風景な雰囲気
でも、
彼が待ってるから、気兼ねなく顔を出せる
じゃあ、また明日ね!
その夜、電話が鳴った
お義母さんからだった
昨日の夜から、しんどくなって
集中治療室に移動したんだって
私たち朝一行くけど、明日来れる?
は、はい…
ドクン…と心臓が苦しくなった
合併症による腸閉塞でやむなく開腹手術
何があったんですか?
駆け付けると沢山の人が彼を囲っていた
彼の主治医が側に来て、状況を説明した
今は、まだ胃を取ってから腸の反応がない
肝心な腸が活動していかないと
お腹の中にあるガスを出せるようにならないと
このままでは合併症のリスクが出てきます
頷くしかできない彼の顔色が
昨日とはまるで別人だった…
辛そうにする彼のベッドの脇には
尿以外に、胆汁を貯める袋があり
急変したとすぐに分かった
胆汁が出ている間は、術後に合併症の恐れがある
手術後の危険度と胆汁による合併症
繋ぎ合わせた個所より胆汁が腹腔内に漏れ出ること
ごく少量であれば、問題ありませんが
胆汁が出るとドレナージチューブの留置が必要となる
狭窄・閉塞部位よりも胆管の上流側に
停滞した感染胆汁を排出するためのドレナージチューブをつける
胆管の縫合後に狭窄・閉塞(狭くなりつまること)ができ
胆汁の流出が停滞するためおこった胆汁漏は
黄疸(皮膚や眼球結膜が黄染すること)がでた場合
危険度は高くなり、再手術が必要となる
重い声で先生が話し出す
腸が手術の間に、何らかの形でねじれた状態になり
元に戻さないといけない
顔色も、黄疸の色が出てきているので
これ以上待つと、よくなることもない
明日、腸閉塞になった個所を再手術をします
今回は、大部分になるので開腹手術になります
え?また手術をするの?
彼はまた、あの寒くて
辛い手術に耐えないといけないの?!
彼が拒んできたこと…
お腹に大きくメスを入れること
でも、今の彼にはもうどうすることもできない
明日、再手術だ
病気とは怖いものだ
自分ではどうすることもできない
他力本願、そのもの
私に出来ることはなんなんだ?
何もないよ…
とりあえず今は側にいることだけ
また、明日会いに来るからね…
手をぎゅっと握りしめた
手術を終えて食事が出来るまで
術後、会いに行くのが不安だった
どんな顔してるだろう
そんな不安は扉を開けるとすっかり消えた
起き上がりにくそうだけど
私の顔を見ると変わらない彼の笑顔
もう大丈夫みたいだよ
そう言って顔を見に来た私を
安心させてくれた
お腹は切りたくなかったな…
彼はお腹をさすった
見てみる?
そう私を茶化すように言うと
もう!安静にしなさいよ!
そう言って彼をいさめた
まだ、実感が湧かないのは私の方
だから、もう少し後になら
元気な姿になれば、その傷も直視できる
正直、今はまだ怖い…
あとは食事ができれば退院できるから
彼は前向きな言葉で自分を保っているように見えた
人間の体の中で再生できるのは
肝臓
皮膚
血液
胃を全摘した場合、食道と腸を繋げる
繋げた腸が胃の代わりになり
少しずつ消化できるようになる
手術後の食事の仕方(胃、大腸)
http://www.e-oishasan.net/site/takemura/care_gastriccancer03.html
退院してからの食事のレシピ
ポイントはあまり難しく考えないこと
毎日の事だから、無理は長続きしません
簡単な物から作っていきましょう
退院後の食事のイメージ
最初は熱が出た時に食べられるもの
(うどん、雑炊)
徐々に、高齢者の歯がない人が食べられるものに
(うどん、豆腐みそ汁、オムレツ、ヨーグルト)
タンパク質やカルシウムを意識して摂るとよい
この献立がメインになってくる
量が取れない分、一回の食事のカロリーを多めに摂る
朝のバナナ、間色にカロリーメイト
赤ちゃんが2時間に一回の授乳なのは
消化器官が小さいから
食べてはいけないものでは
繊維の多いもの、
脂っこいものは消化が追い付かない
固いものはもたれて吐いてしまう
(高齢者と同じ感覚でメニューを決めること)
ダンピングとは
術後すぐは、食べ物が受け付けないため
逆流してしまう事
お酒も、以前は飲めた人でも
体が受け付けなくなっていて
分解する機能が落ちています
アルコールの消化に時間がかかり
腸に血液が行かず、消化機能が下がります
医師に相談の上、1杯までにとどめておきましょう
2か月入院したのち、無事に退院
最初の手術から1か月を過ぎたあたりだった
術後の癒着の心配もなく安心した
とにかく歩いて体力をつけた方が
回復が早いっていうから、病院の廊下を
何周も歩いてるんだよ
無理して毎日歩いていたと看護師から聞いた
それでも毎日歩数を伸ばしていたのは
彼の精神力だろう
人一倍、負けん気が強い人だから
歩けるようになると、自然と食事も残さずに
食べられるようになっていた
退院が決まった
彼も私も喜びもひとしお
二回の手術、よく乗り越えたね!
やっと退院だよ~
彼はしきりに
ずっと伸ばしっぱなしだった髭を触り
この髭ともおさらばだな~
そう言って山男のような風貌から
普通の人に生まれ変わっていた
そんな顔してた?
スッキリした髭のない彼の顔を見ると
10㎏は落ちただろうか
頬がくぼんで見えた…
あまりマイナスなことは言わないでおこうと
前より男前になったんじゃない?
と茶化してみたり
そうやって
冗談が話せることで心の余裕ができる
そっか
退院すると田舎帰っちゃうんだね
当分は実家に帰り、1か月ほど療養することになる
一緒に過ごした時間、退院まで頑張った時間
二人で交わした交換日記
この時が過去の事に思える日まで持ってて
忘れた頃には元気になってるから
分かったよ、持っておくね
次に会う時は、1か月も後の事だった…
[…] でもどり女子婚活歴10年ブログまさかの二度目の手術【医者が言う合併症は当たり前のこと?術後の患者の負担は倍増】https://merumo3745.com/2domeno-shujyutsu/無事手術が終わり、経過観察&nb […]